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腰部脊柱管狭窄症

比較的患者数が多いと言われる腰の病気、腰部脊柱管狭窄症について、その原因や症状、治療法などを解説します。

腰部脊柱管狭窄症とは

「ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう」と読みます。

腰の部分にある背骨の「脊柱管」という組織が、何らかの理由で狭くなってしまい、脊柱管の中にある神経の束が圧迫される病気です。

若い人から高齢者まで幅広い年代で発症する病気ですが、特に60代以上の高齢者に多く見られます。

腰部脊柱管狭窄症になりやすい人の特徴

腰部脊柱管狭窄症は、多くの場合後天的な理由によって発症します。

以下が、腰部脊柱管狭窄症になりやすい人の特徴です。

  1. 高齢である。
  2. 腰に負担を与える重労働や、負担の大きいスポーツをしていた。
  3. デスクワークやドライバーなど、座りっぱなしの仕事をしていた。
  4. 普段ほとんど運動をしない。
  5. 長年猫背などの悪い姿勢で過ごしている。
  6. 一度腰を痛めた経験がある。
  7. 椎骨がズレることで起こる「変性すべり症」になったことがある。

間欠跛行(かんけつはこう)について

間欠跛行とは、間欠(一定の間を置いて、物事が起こるまたは止む)と跛行(足をひきずるように歩く)の名が示すように、歩き続けるとすぐに足の痛みや痺れによって歩けなくなる症状です。

しばらく休めば痛みや痺れはよくなりますが、歩き始めるとすぐに症状がぶり返してしまうため、長距離を歩くことができなくなる症状です。歩行中に脊髄末端の馬尾や神経根などが圧迫されることで、足の痛みや痺れが現れるのです。

前かがみの姿勢になると楽になることが多いので、杖やシルバーカー、自転車などを積極的に利用するようにしましょう。

腰部脊柱管狭窄症の症状

  • 腰痛
  • 足のしびれ
  • 腰周りの違和感
  • 排尿障害
  • 間欠跛行(かんけつはこう)など

間欠跛行とは少し歩くと、すぐに少し休まなければならないような状態のこと。高齢者に多く見られる症状です。

この病気の主な症状は、腰痛です。個人差はありますが、発症した人のほとんどに腰痛が感じられます。なかには立ち上がることも困難なほどの腰痛を感じる場合もあるようです。

なお足の症状は、両足に見られる場合と、片足だけに見られる場合があります。

まれな例ですが、腰痛以外の症状のみ自覚することもあるそうです。

腰部脊柱管狭窄症の症状を和らげる工夫

杖やシルバーカート、自転車を使う

脊柱管狭窄症の症状は、腰や背中を反らせるとより強く現れます。逆に、前かがみの姿勢であれば症状は和らぐため、外出する時などは前かがみの姿勢を保つ工夫をするとよいでしょう。

前かがみの姿勢のまま移動する際に便利なのがです。杖をつくことで重心のバランスが取れ、前かがみの姿勢でも移動がしやすくなります。

杖のほか、シルバーカーもおすすめです。杖同様に前かがみの姿勢でも楽に歩け、買い物の荷物などを入れて歩けますし、疲れた時は座面に座ることもできます。

そのため、歩き過ぎなどで悪化する間欠跛行(かんけつはこう)の対策にも効果的です。

長距離を移動する場合は、自転車を活用するとよいでしょう。一見して腰に負担が掛かりそうな自転車ですが、乗っている時は重心が前へ傾くため、自然と前かがみの姿勢になります。

車の運転が難しい方でも、自転車であれば負担なく乗ることができるはずです。

寝る時の体勢

脊柱管狭窄症に罹ると、寝ている時の姿勢が腰に負担を与え、痛みによって不眠症になることがあります

不眠の解消と症状の悪化を防ぐためには、”腰にとって最適な姿勢”で眠る必要があるのです。

仰向けやうつ伏せでの就寝は、腰に負担を与えるため脊柱管狭窄症の人は避けるべきといわれています。

しかし、実際には症状によって楽な姿勢は異なるため、一概にどの姿勢のほうがよいとはいい切れません。個人ごとに楽である姿勢をとるべきです。

このような問題の対処法として挙げられるのが、クッションやバスタオルを体の下に敷く方法です。仰向けが楽だという人は”膝の下”に、うつ伏せが楽な人は”お腹の下”にクッションなどを入れるとよいでしょう。

腰が反ってしまうことを防ぎ、負担を軽減できます。側臥位(そくがい/横向きに眠ること)で眠る場合は、クッションを両足の太ももで挟み込むようにすると楽に眠れます。

腰部脊柱管狭窄症の原因

直接的な原因は、脊柱管が狭くなること。脊柱管が狭くなる原因は大きく分けると次の2つです。

  1. 先天性
    生まれつき脊柱管が狭い
  2. 加齢
    加齢にともない「変形性脊椎症(へんけいせきついしょう)」や「変性すべり症」などの背骨付近の不具合で脊柱管が狭くなることもあります。

上記以外にも、腰部の脊柱管狭窄症になりやすい人にはいくつか特徴があります。

スポーツで腰や首を酷使したり、デスクワークで長時間同じ姿勢のまま作業したりすることが多い人です。

この特徴が当てはまる人は血流障害を起こしやすい傾向にあり、それが腰部の脊柱管狭窄症を引き起こす恐れがあります。

腰部の脊柱管狭窄症を患っている人は50~80歳に多く、女性よりも男性が発症しやすいといわれています。

定年後、自宅でテレビやパソコンを使用する時間が長くなり、座っているのが多くなったという人もいるでしょう。

もし心当たりがあるなら、散歩に出かけたりストレッチをしたりするようにして、体への負荷を和らげるように努めてください。

また、普段からゴルフやテニスを趣味としている人は、腰を想像以上に酷使している恐れがあります。

そのため、負担のない運動に切り替えることを考える必要があります。

特に水中ウォーキングは、浮力があるため腰へ負担をかけることなく運動できるのでおすすめです。

なお脊柱管は、加齢とともに誰でも狭くなるので「脊柱管が狭くなる=腰部脊柱管狭窄症」というわけではありません。

脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されて「足のしびれ・腰周りの違和感・排尿障害・間欠跛行(かんけつはこう)」等が出ている場合、腰部脊柱管狭窄症と診断されます。

腰部脊柱管狭窄症の治療法

治療法は症状のレベルに応じて主に2つに分けられます。

保存療法

症状を緩和するために、以下のような治療をしながら経過観察をします。

  • 消炎鎮痛剤や血流改善薬などの薬物投与
  • 激痛を緩和するための神経ブロック
  • 牽引や温熱などによる理学療法など

これらの治療をしながら、症状が落ち着くのを待ちます。

手術

保存療法で改善が見られない場合などは、手術を行います。手術の目的は、脊柱管を広くして神経の束への圧迫を取り除くこと。

脊柱管の状態に応じ、開窓術(かいそうじゅつ)・椎弓切除術(ついきゅうせつじょじゅつ)・脊柱管拡大術(せきちゅうかんかくだいじゅつ)のうちから、手術法が選択されます。

なお重症の場合には、患者本人の別の部位の骨を移植もしくは、金属を用いて脊椎を固定する手術が同時に行われることも。

手術後は数日間の安静とリハビリが必要です。

腰部脊柱管狭窄症のリハビリ

保存療法と手術のどちらを選んだ場合も、リハビリは必ず行います。手術の場合は治療の予後を回復するため。

そして保存療法の場合は、症状とうまく付き合いながら生活をするという目的があります。

自宅で今すぐ始められる体操・運動

症状を緩和するための体操

腰部脊柱管狭窄症を患った場合、激しい運動をすることは厳禁です。そのため、体操や運動をするのは危険なのでは?と考える人も多いでしょう。

しかし、この体操や運動は、脊柱を支える筋力を保つ上で重要なのです。

年齢が高くなると、若い頃のように体の筋肉を使うことが少なくなり、筋肉が萎縮してしまうようになります。

整体などでよく「筋肉が硬くなる」という表現がなされますが、これは筋肉の萎縮を指したものです。

筋肉の萎縮は体操をすることで改善させることができます。定期的に正しい方法で体操を行い、症状改善を目指しましょう。

【体操の方法】

  1. ベッドで仰向けに寝て、両膝を曲げ、手で抱える(空中で体育座りする要領)
  2. 息を吐きながら、ゆっくりと両膝を胸にくっつける
  3. 膝を胸につけながら、ゆっくり5つ数えて、最初の状態に戻る
  4. 1~3の動作を10回繰り返す

8の字スクリュー

「頸部脊柱管狭窄症治療のかぎとなる『運動療法』」でも紹介されている体操です。腰部脊柱菅狭窄症の症状を緩和させるには、体幹の筋肉を鍛えることが重要。

8の字スクリューは、腰の体幹を効率よく鍛え、S字カーブのある正常な背骨へ促すとされています。

腹式呼吸

腰部脊柱管狭窄症の症状を和らげるには、「腹横筋」と呼ばれる筋肉をある程度鍛えることが重要とされています。

腹横筋はお腹周りの筋肉の中でも深い位置にあり、体幹を保持するために重要な筋肉。この筋肉の機能を高めることで、腰への負担を抑えることができるでしょう。

腹横筋はいわゆるインナーマッスルであるため、一般的な腹筋を鍛えるやり方では機能を高めることはできません。

腹横筋を発達させるには、腹式呼吸を行うことが有効だとされています。

【腹式呼吸の方法】

  1. ベッドの上で仰向けになり、リラックスした状態で膝を曲げる
  2. 両手をお腹の上に軽く置く
  3. へそから下腹部へ空気を送り込むイメージで、ゆっくり息を吸う
  4. お腹に入った空気を吐き切る気持ちで、ゆっくり息を吐く
  5. 1~4までの動作を20~30回、1日2~3セット行う

※手でお腹の動きを意識しながら行うと効果的です。

紹介した腹式呼吸の方法は寝て行うものですが、慣れると立った状態でもできるようになります。

この腹式呼吸をしながら、8の字スクリューを組み合わせると、より効率的に筋肉の機能を高めることができるでしょう。

体操をする上での注意点

やりすぎないようにする

紹介した体操や運動は、腰部脊柱管狭窄症の緩和に効果的とされています。だからといって体の痛みや負担を押してまで行うと、かえって腰部脊柱管狭窄症を悪化させる恐れがあります。

方法を紹介する所では、目安として回数を記載していますが、行っている途中で痛みやつらさを感じた場合はすぐに体を休ませましょう。

体操で症状が治ることはない

紹介した体操や運動は、あくまで痛みなどの症状を緩和させる目的の、いわば対処療法です。体操や運動だけで腰部脊柱管狭窄症を治すことはできません。

あくまで生活の質(QOL)を高める目的のものだと割り切り、無理のない範囲で行いましょう。

医師に相談する

腰部脊柱管狭窄症を罹患した場合、人によって症状の重さは異なります。

重度の場合はいかなる動作も厳禁となる場合もあるため、必ず医師に紹介した体操や運動ができるか相談しましょう。

腰への負担を少なくする日常生活での工夫

腰部脊柱管狭窄症のリハビリをする場合、注意しなければならないのが、日常生活での腰への負担です。

普段のなにげない動作でも、腰に大きな負荷が掛けられてしまうことがあるため、常に意識して動作の工夫を行いましょう。

高い所の荷物を持つ時のポイント

棚の上からものを取る時、荷物が大きく、重量があると、両手で支えるために腰を反らしてしまうことがあります。

腰部脊柱管狭窄症の人にとって、腰を反らせる動きは厳禁。高所から荷物を取る時は、必ず台を足元に置き、腰を反らさずに荷物を取りましょう。

低い所の荷物を持つ時のポイント

足元の荷物を持つ時、ついやってしまうのが、腰を折り曲げてから荷物を持つというやり方。

しかし、この方法は、荷物を持つ際に体重と荷物の重量が一気に腰へ与えられるため、腰への負担が非常に大きくなります。

足元の荷物を持ち上げる際は、まず地面にしゃがみ込み、腰を曲げずに足の力を使って荷物を持ち上げるようにしましょう。

座る姿勢のポイント

椅子に座る際に、浅く座った状態で腰を背もたれに、もたれ掛かるような座り方をする人が多くいますが、この座り方は腰の負担が大きいため気をつけましょう。

腰の負担が最も少ない座り方は、椅子の奥まで深く座り、背もたれへもたれ掛かる方法です。顎を引き、お腹をへこませるようにして、背筋を伸ばすような姿勢を心がけるとよいでしょう。

また、長時間椅子に座っていると、疲れによってどうしても姿勢が悪くなってしまうので、ベッドに横になるなどして休息を取りましょう。

歩く姿勢のポイント

腰への負担を避けて歩く場合、多くの人は背筋を伸ばして歩こうとしますが、腰部脊柱管狭窄症を患った人だと問題です。背中を伸ばして歩くと、痛みによる負担や、背中を反らす体勢になりやすくなるのです。

歩く時はやや前かがみになり、背中に負担が掛からない体勢で歩くとよいでしょう。その際、杖やシルバーカーなどを利用すると、より歩きやすくなります。

立ち仕事をする時のポイント

台所などで家事をする場合、調理や洗いものに集中するあまり、前かがみの姿勢になることがあります。

歩く場合とは異なり、座る時や立ち仕事の時に前かがみの姿勢を取ると、腰への負担が大きくなるため問題です。立ち仕事をする時は、足元に台を置き、片足を乗せた状態で行うとよいでしょう。

腰部脊柱管狭窄症の手術後はコルセットを装着する

手術後は、上記にある保存療法が行われます。消炎鎮痛剤や神経ブロック療法によって痛みを取り除き、さらに理学療法により術後の経過をよくします。

そしてこれらの治療に加え、手術後はコルセットの装着も行わなければなりません。コルセットの装着によって得られる利点は、姿勢を固定できることです。

脊柱管狭窄症ではほとんどの場合、特定の姿勢をとることで脊柱管による神経への圧迫を減らし、痛みを和らげることが可能なのです。

手術後にコルセットを装着すれば、痛みは抑えられ、さらに患者さんが”症状を悪化させる悪い姿勢”になることも防げます。つまり、治療効果を高めることができるのです。