頸部脊柱管狭窄症の苦しみから解放されるための、治療法を紹介しています。
人間のからだのなかでも、とくに重要な部位である首。
頸部脊柱管狭窄症はその首を患部とするだけに、治療にも高度な医療技術が求められます。
腹痛のように薬を服用すれば治まるというわけでもありませんし、骨折のように時間の経過とともに患部がもとに戻る、という病気でもありません。
頸部脊柱管狭窄症を治療するには、根本的な原因を取り除くしか方法がないのです。
つまり、手術によって原因を除去するわけですが、ひとことで頸部脊柱管狭窄症の手術といっても、実はいくつもの方法があります。
後方椎弓拡大形成術や頸椎後方除圧固定術、前方固定術など、個人個人の症状や患部にあわせて、もっとも適した手術方法がとられるわけです。
頸部脊柱管狭窄症にはどのような手術法があり、どのような流れで治療するのかを知ることで、治療計画もスムースに立てやすくなるでしょう。
もちろん、治療費についても気になるところ。手術方法が変われば、入院期間も変わってきます。
入院期間が変われば、それだけ総費用にも差が出てきます。
そのあたりの手術費用目安についてもまとめていますので、あわせてチェックしてみてください。
頸部脊柱管狭窄症には、装具療法という治療法があります。
装具療法は、狭窄した部位を物理的に固定することで、神経や脊髄の圧迫を避ける治療法です。
自分の意思だけで安静を保つのは大変ですが、装具を利用すれば効果的だといえます。
使用する装具には、既製品で扱いやすい頸椎カラーの他、支柱付で固定力の高いものなどいろいろな種類があります。
自分に適した装具を正しく使うためにも、専門医を受診して診断・処方を受けることが重要です。
頸部脊柱管狭窄症には、「温熱療法」という治療法があります。
温熱療法は、痛む患部や痛みの原因となっている部位を温めることによって、症状を緩和しようとする理学療法の一つです。
血行が良くなることで筋肉の拘縮が改善され、患部に感じる痛みやしびれの軽減が期待できます。
痛みが強いときは避け、専門医に相談の上で慎重に行う必要がありますので、自己判断による実施は避けましょう。
頸部脊柱管狭窄症で行われる「通電療法」では、脊椎付近に電極を埋め込み電気的な刺激を送ることによって、患部の痛みを緩和させることができます。ただし、しびれに関しては効果を期待できないので注意が必要です。
埋め込む電極はごく小さなものであり、取り外しも容易いので安全面から心配するようなことはありませんが、専門的な知識が必須となるため、病院選びをしっかりと行うことが大切です。
頸椎脊柱管狭窄症の症状には個人差があるため、一人ひとりに合わせた適切な方法で治療をすすめていく必要があります。
主な手術としては、以下の2つが挙げられます。
頸部の手術はリスクが高いと言われています。頸部脊柱管狭窄症手術の実績がある病院や、頸部を専門としている病院・医師に診てもらうことも、手術の成功率を高めるポイントになるでしょう。
「前方固定術」は1椎間50~90分の手術で、首の前方または左右どちらかを横に切開し、顕微鏡で確認しながら椎間板を切除していきます。その後、神経を圧迫しているヘルニアや骨棘を切除し、切除した部分に補強材を挿入し骨を安定させていく流れです。
「後方椎弓拡大形成術」も50~90分の手術で、首の後方部分を切開し棘突起の片側をさらに深く切り開きます。そして別の一部の椎弓の片側を片開きに切開し、ハイドロキシアパタイトスペーサーを注入していきます。
どちらも術後1週間ほどで歩行が可能と言われていますが、頸部という部位だけに、リハビリもしっかり行わなければいけません。
安静にしているだけでは骨や筋力が低下するだけでなく、呼吸機能の低下や血液循環も悪くなる可能性が高くなります。手術して終わりではなく、術後の経過を見ながら早めにリハビリに取り組んでいくことを心がけてください。
頸部脊柱管狭窄症の費用は、医療機関や手術の方法、症状の軽重によっても差が出ますが、相場としては25万円から60万円程度とされています。
治療の方法によって保険が適用される場合とそうでない場合があるため、自分に合った治療法を見極めることが大切です。
保険が適用される治療としては、薬物療法や神経ブロックなどの保存療法と運動療法や温熱療法、超音波療法や腰椎牽引などの理学療法があります。
保険が適用されない治療は、整体・整骨院やPLDDレーザーといって、脊髄にレーザーを照射し神経を圧迫している原因を取り除く方法があります。
費用はあくまでも目安であり、一人ひとりの手術方法や入院期間などで費用は違ってくることを覚えておくといいでしょう。
頸部脊柱狭窄症では薬物療法と理学療法の治療があり、外科手術を必要としない整形外科疾患では、この2つを含む保存療法が行われるのです。
その中の薬物療法は、痛みや腫れを和らげ症状の悪化を防ぐためのもので、鎮痛剤、筋弛緩薬、ビタミンB12、循環障害改善薬、抗不安薬が用いられています。
しかし、眠気や胃腸障害などの副作用も起こしやすくなるため、他の治療と並行して実施していくことが大切です。
また、症状が重い場合は鎮痛効果が低下するため、強い薬を求めるのではなく、症状に合った治療方法を医師と相談し一緒に探していきましょう。
術後、体の痛みがあると体を動かすのは控えてしまう人も多いですが、術後の経過がよければなるべく早く体を動かすといいでしょう。
安静にすることも大切ですが、安静にし過ぎてしまうと筋力が低下するだけでなく、頚椎を支えることが難しくなり、脊柱管を圧迫しやすくしてしまいます。
とくにウォーキングなどの有酸素運動は、血液の循環がよくなり筋肉の柔軟性も高めることができます。また、首への負担も少なく自分のペースでできるので、無理なく続けていけるでしょう。また、「8の字スクリュー」や「ネコ伸び体操」などもおすすめです。
気をつけたいポイントは、痛みやしびれがある状態で無理に体を動かさないこと。
頸部の痛みは外から判断できないため、運動の実施や運動中の違和感は早めに医師へ相談する必要があります。
神経ブロック療法は、薬物療法や通電療法では効果を得ることができなかった人に向いています。痛みがある部位の神経に麻酔薬を注射する方法、以下の2種類があります。
痛みに悩む人には効果的な保存療法ですが、麻酔薬を打つときの痛みだけでなく、血圧低下やアレルギー、感染や出血、神経障害などが起こる可能性もあります。
また、高い確率ではありませんが重篤な副作用が起こる可能性も。神経ブロック療法を受ける場合は、設備が整っており信頼できる医療機関を選ぶようにしましょう。
頸部脊柱管狭窄症の手術は、神経が通るとてもデリケートな部分の手術です。そのため、神経の圧迫度合いや医師の腕によっては後遺症を残してしまう可能性もあります。
神経はとても複雑な構造になっているため、ちょっとした傷でも体には大きなダメージに。回復にも時間を要するため、日常生活に支障をきたすリスクもあります。
とくに多い症状は「しびれ」だと言われており、症状によって後遺症が残るリスクも異なります。こうした後遺症の可能性が気になる方は、運動療法から始めるという手段も。ただし日常生活に使用をきたしている場合は、やはり手術を優先して検討しなくてはなりません。
医師と相談のうえ、慎重に治療方法を選ぶようにしましょう。
頸部脊柱管狭窄症では、首に負担をかける動作や習慣化された癖、激しい運動、誤ったマッサージやストレッチなど、やってはいけないことがあります。自分の判断で取り入れた方法が、痛みや痺れを悪化させてしまうといった逆効果になる場合もあるでしょう。
首は、生命や体の機能にとって重要な部位のため、痛みを我慢することはやめましょう。必ず専門医に相談して検査を受け、適切な治療と首に負担のかからない姿勢やトレーニング方法を指導してもらうことが大切です。
頸部脊柱管狭窄症が引き起こされる原因として、姿勢の悪さによって頸部の神経が圧迫されてしまうことが挙げられます。頸部に装具を着用したり、牽引や薬物療法を行ったりして治療を受けたとしても、日常生活で姿勢が悪いのでは症状の再発や悪化する可能性があります。
そこで、起きている時や寝ている時の正しい姿勢管理を身につけることが重要です。日頃から正しい姿勢をとるポイントをおさえ、脊柱管を圧迫させない生活を送りましょう。
頸部脊柱管狭窄症は、脊髄や神経根の異常を調べるために、身体の姿勢や歩行、感触や痛覚に異常がないか、反射などに問題がないか診察します。異常が疑われた場合は、レントゲンや脊髄造影、CT、MRI検査を施行し、脊髄が圧迫されているのかチェックします。
正確に診断するためにはMRI検査も必要になるため、MRIの検査装置が設置している病院を受診することがおすすめです。少しでも違和感がある場合は医療機関に相談し、検査を受けましょう。
頸部脊柱管狭窄症では、保存療法では痛みや痺れが改善せず、日常生活に支障をきたしている方に対して手術が行われます。その中で、患者さんの身体への侵襲が低い、脊椎内視鏡手術は日帰りで受けることが可能です。
手術の傷跡が目立ちにくく、手術後は歩いて帰宅できるため、患者さんの負担は抑えられるでしょう。ただし、いくつかのデメリットもあります。それらを踏まえて、手術を検討している場合は、日帰り手術に対応している病院に相談してみましょう。
頸部脊柱管狭窄症は、首や肩まわり、腕や手指に痛みや痺れが出る病気です。症状が進行すると、微細な手指の運動や歩行障害、排尿障害を引き起こす可能性があります。さらに、人によっては日常生活に影響を及ぼすようになるでしょう。
まずは医師に相談し、生まれつき狭窄しているのか、事故や姿勢などで負担がかかっているのか原因を確認しましょう。早期に発見することで、日常生活が少しでも楽になるようアプローチできるでしょう。
高額療養費制度は、入院や手術、高額な治療費によって家計の負担が重くならないように、上限額を超えた分の医療費が払い戻される制度です。事前に申請する方法と医療費の支払い後に申請する方法があります。
頸部脊柱管狭窄症は、入院や手術などを含めて約20〜90万円と差があります。申請の有無やタイミングがありますので、まずはおおよその医療費がどのくらいになるのか事前に医師に確認しましょう。