頸部脊柱管狭窄症は手術によって治療が可能です。
しかし、神経圧迫の度合いや、担当医の腕によって後遺症が残る可能性もゼロではありません。
ここでは、頸部脊柱管狭窄症で懸念される後遺症と、その理由について解説します。
脊柱管狭窄症の手術後に懸念される症状は、一時的なものから後遺症となるものまでさまざまです。最悪の場合は、体の一部の自由が奪われることもあります。
なぜ、そのような事態になってしまうのか、手術の流れをみてみましょう。
引用元:頚椎椎弓形成術を受ける方へ│とぜんな脊椎外科医のブログ│発表年2016年1月16日
この画像は、脊柱管狭窄症における手術の手順を解説したものです。
これは脊柱管を上から見た構図になっており、ハート型になっている(1)の部分に神経が通っています。
脊柱管狭窄症は、この骨が増殖し内側に圧迫されることで引き起こされます。ですから、手術では、この増殖した骨を取り除かなければなりません。
(3)の画像を見ていただければ分かりますが、(1)のハート型の部分が広くなっています。これは、手術によって神経が通る部分が広くなった証拠です。
しかし、神経はとても複雑な構造になっているため、一度圧迫されてしまうと完全に回復できない恐れがあります。それにより、後遺症が残る可能性も高いです。
ちなみに、神経は少し触れるだけでもビリっとするほどデリケートです。
そのため、神経は脊髄液などによって傷がつかないよう守られていますが、脊柱管狭窄症の手術は、その付近で行われるので医師の技術が非常に重要です。
神経は非常にデリケートな構造のため、ちょっとした傷でも体にとって大きなダメージになります。
また、回復のスピードも非常に遅いため、日常生活に支障をきたす恐れもあるのです。その後遺症の中でも特に多いのが「しびれ」だといわれており、症状の度合いによってリスクは異なります。
【症状の度合い別・後遺症リスク】
後遺症が残るケースでは、すでに神経が回復困難なほどダメージを受けている状態にあります。
そのため、脊柱管狭窄症の手術が成功したとしても、後遺症が残ってしまうのです。
なお、最も後遺症が残りやすい手術とされているのが、腰椎固定術(ようついこていじゅつ)といわれています。
神経の圧迫が取り除かれていない状態で固定してしまうことで、他の箇所でしびれが出てしまう恐れがあるのです。
手術による後遺症を懸念するのであれば、まず運動療法から検討することをおすすめします。
運動療法は、椎間板や靭帯組織の変形。また、骨同士のズレが原因であれば、手術を伴わずに治療が施せます。
運動療法の経過を踏まえた上で、手術の必要性が判断することもできるので、適切に治療法が選べるようになるのです。
しかし、運動療法に治療は根気よく続ける必要があります。日常生活に支障をきたす程、症状が悪化しているのであれば手術を優先的に考えなくてはなりません。
脊柱管狭窄症の後遺症について解説してきました。手術では後遺症こそ懸念されますが、治療すれば完治する人がほとんどで、必ず体に影響が残るという訳ではありません。
しかし、いかなる手術であれ、後遺症リスクについて理解しておく必要があります。
とても苦しい脊柱管狭窄症を、急いで治したいしたい気持ちも分かりますが、後悔を残さないためにも治療法は慎重に選ぶようにしてください。