頸部脊柱管狭窄症について、その症状や原因を調べました。首の痛みなど、さまざまな症状が現われるので、ぜひこの機会に覚えておきましょう。
首まわりの痛みや手足のしびれを感じたり、指先の自由がききづらくなったり、握力が低下したかなと思ったら、疑ってみてほしいのが頸部脊柱管狭窄症です。
このように、決めつけるのは早計です!
ちょっとした手のしびれや首の痛みであったとしても、少しでも違和感を覚えたら、早め早めに病院で診察してもらうようにしてください。
なぜなら、原因が頸部脊柱管狭窄症であれば、それはやがて歩行困難や排泄・排尿の不自由など、日常生活をおくるのにも重大な影響を及ぼしかねないからです。
頚椎症性脊髄症は、背骨にある脊髄が通っている脊柱管と呼ばれる空間が圧迫される病気のことです。
脊柱管が圧迫されることで、首や肩周りの筋肉がこったり、手がしびれたりします。さらに悪化すると、歩行障害などの日常生活に影響が出る病気です。
脊柱管が圧迫されるのは骨の成長が関係しています。体が大きく成長するとともに、骨も大きくなります。
ですが、この時に骨が脊柱管を圧迫するように成長することがあるのです。また、骨が脊柱管を圧迫しているかは外見上では判断できないため、自覚することは難しいです。
骨以外には黄色靭帯(おうしょくじんたい)も原因のひとつ。黄色靭帯は脊柱管にある靭帯の一つで、椎弓と呼ばれる骨を繋ぐ役割を持っています。
しかし、加齢とともに筋肉が衰えることによって、黄色靭帯が大きくなるのです。その結果、脊柱管を圧迫してしまい狭窄を引き起こします。
追突事故やむち打ちなどの外傷を受けた人は、脊柱管が強く圧迫される可能性があります。
また、脊柱管だけでなく骨や靭帯への影響が出るため、頸部脊柱管狭窄症だけでなく脊柱管に関連する病気を発症する可能性が高いです。
ボクシングや柔道は首への負担が大きく、首の骨や筋肉にダメージを与えてしまい、狭窄を引き起こします。
スポーツではラグビーのタックル、サッカーのヘディングが首に負担をかけることになります。
脊柱管は脳から繋がる脊髄を保護する役割を担っています。しかし、首の脊柱管は細いです。細い脊柱管に太い神経が何本も束ねているため、少しでも圧迫されると狭窄しやすくなります。
また、頸椎には7つの椎骨が積み重なっているので、脊柱管の周りはつねに狭い状態といえるでしょう。ほか、首の脊柱管が狭窄しやすい原因があるのです。
脊柱管の広さは人によって異なりますが、多くの人が神経が通るスペースがあります。なかには生まれつき脊柱管が狭く、神経が圧迫されて狭窄しやすい人がいます。
脊柱管が細い人は、少しでも黄色靭帯が大きくなってしまいます。そのため、脊柱管狭窄症の症状が出てしまい、すぐに悪化してしまうでしょう。
また、事故で脊柱管が圧迫された場合は、脊柱管が狭いせいで重症になることもあります。そのため、20代や30代で頸部脊柱管狭窄症を発症する人がいるのです。
脊柱管の広さは遺伝によって決まります。両親や兄弟で頸部脊柱管狭窄症を発症した人がいれば、発症するリスクが高いでしょう。ただし、絶対に発症するわけではなく、普通の人に比べてリスクが高くなる程度です。
頸椎は、本来ゆるやかにカーブしていますが、これがまっすぐになってしまうと頸部脊柱管狭窄症になりやすいです。
このような頸椎をストレートネックといい、頸椎に負担が増すので脊柱管が狭くなる可能性が高くなります。
ストレートネックは前かがみや猫背の人に多いです。パソコンの普及により、職場や自宅でも長時間パソコンを操作する機会が増え、前かがみで画面を見つめることが多いはずです。
それだけではなく、スマートフォンの操作も前かがみになりやすいため、頸椎に少しずつ負担をかけてまっすぐになるのです。
そのため、高齢の人だけでなく、若い人も頸部脊柱管狭窄症を訴える人が増えています。
また、首の骨は可動する範囲が広く、腰よりもねじれやすいという特徴があります。ですが、人間の構造はねじれに弱いため、長時間首を曲げたり、動かしたりすると負担がかかってしまうのです。頬杖をつくだけでも骨に影響を与えてしまいます。
日常の癖のせいで首に負担をかけることになります。寝る時の枕の高さが合わないだけでも、首に負担をかけることになるのです。このように、体質や普段の生活からみても、首の脊柱管は狭窄しやすいといえます。
次に紹介する症状が現れている人は、頸部脊柱管狭窄症を発症しやすい、既に発症している可能性があります。
このような症状は、急に起こるわけではなく、少しずつ進行するので頸部脊柱管狭窄症だと自覚することは難しいです。
普段から前かがみや猫背の人は、首や肩のこりを感じることはありませんか?これは、首の後ろ側の筋肉が緊張していることが原因です。
この状態は頸部脊柱管狭窄症はまだ発症していないですが、放置すれば発症する恐れがあります。
肩や首周りの異変だけでなく、肩から手にかけて痛みやしびれがある人は、頸部脊柱管狭窄症を発症している可能性が高いです。
頸部脊柱管狭窄症が悪化すると、日常生活に支障をきたすことがあります。
ほかにも、頸部脊柱管狭窄症は排尿・排便障害、肛門のしびれなどの症状が起こります。このような重度の症状が現れると、手術を受けないと治療することはできません。
頸部脊柱管狭窄症は神経を圧迫する病気ですから、自律神経に異常をきたします。頭痛、吐き気、目まいなどの症状や、イライラしやすいなどの精神面にも影響を及ぼします。
脊柱管は脳からの指令を体全体に伝えるために必要です。もし、その脊柱管が圧迫されてしまうと、心臓や内臓にも悪影響を及ぼす危険性があります。
それだけではなく、内臓の働きが悪くなると、体内の疲労物質の代謝がうまくいかず、体内に蓄積されてしまいます。そうなると、徐々に体が歪んでさらに背骨に負担をかけることになるでしょう。
脊柱管の圧迫による頸部脊柱管狭窄症は、初期症状は日常的に起こりそうなことばかりですが、悪化するにつれて重症になります。
歩行障害による怪我や事故、自律神経の異常によってうつ病を発症するなどの、他の病気に繋がる恐れがあるので注意してください。
上記で紹介した後縦靭帯骨化症のように、頸部脊柱管狭窄症を引き起こす可能性がある病気がほかにもあります。
頸部脊柱管狭窄症だけを治療しても、ほかの病気が治っていなければ意味がありません。脊柱管に影響を及ぼす病気について知っておきましょう。
頚椎椎間板ヘルニアとは、頸椎の間にある椎間板が神経を圧迫させて全身の神経に影響を及ぼす病気。
頸椎にある椎間板はつねに圧力がかかっているため、体のほかの箇所と比べて早く老化してしまうのです。
それによって、椎間板が飛び出して神経を圧迫してしまうのです。飛び出した椎間板が神経を圧迫して、頸部脊柱管狭窄症も一緒に発症してしまいます。
頚椎椎間板ヘルニアは最初に肩こりや背中の痛みなどの、違和感程度の症状が起きます。
それが悪化していくと、腕や手のしびれや痛みを感じるようになります。頭を後ろに伸ばした時に、頸椎だけでなく腕に痛みが走ることもあるのです。
最終的には、歩行障害や筋力低下、尿失禁といった下半身への影響があります。このように、症状だけをみると頸部脊柱管狭窄症と似ています。
頸椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)は、椎体(ついたい)や椎間板が激しい摩擦によって骨棘(こつきょく)という骨が変形して飛び出てくる病気のこと。
その骨棘のせいで脊髄を圧迫してしまうことで発症してしまうのが頚椎症性脊髄症です。椎間板の変形は病気ではありませんが、脊髄が圧迫されて症状が出てから病気と診断されます。
頚椎椎間板ヘルニアと同じように、脊柱管も圧迫してしまうので頸部脊柱管狭窄症も起こる可能性が高くなるのです。
最初は頸部に痛みが出て、頸部を後ろに反らした時や重い荷物を持った時に痛むことが多いです。
次に腕や手にしびれや痛みを感じ、ボタンかけやおはしをうまく使えなくなるなどの、日常生活にも支障をきたします。
最後には他の頸部や脊柱管の病気と同じように、下半身にも影響を及ぼします。足を前に出しにくかったり、歩行がぎこちなくなったりなどの症状が出てしまうのです。
頸椎後縦靭帯骨化症(けいついこうじゅうじんたいこつかしょう)とは、頸椎のほうにある靭帯が骨のように硬くなる病気のこと。
背骨にある黄色靭帯が骨のように硬くなると、脊柱管の圧迫だけでなく、感覚障害や運動障害などの病気を引き起こす危険性があります。
また、骨化した靭帯は分析すると、腫瘍のようなものではなく、普通の骨と同じようになります。
この病気の原因は様々な要因が関係していますが、今のところ特定されていません。そのため、指定難病のひとつに認定されています。
頸椎後縦靭帯骨化は発症しても初期症状はありませんし、靭帯が骨のように硬くなってることに気づくことはできません。
症状が出るとしたら、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性脊髄症のように腕や足に似たような症状が現れます。
手足がしびれや痛みを感じるようになり、歩行中に躓くことが増えて転倒する恐れがあります。
また、転倒した際に急に手足がマヒするなどの重度の症状が現れることがあるのです。
このように、頸部脊柱管狭窄症を引き起こす原因には、他の病気が関係しているのです。
そして、頸部や頸椎だけでなく、脊柱管は腰や胸の方も通っています。腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、胸腰椎圧迫骨折などの病気を発症することもありえるでしょう。
このような箇所にも問題があれば脊柱管狭窄症を発症する可能性は高くなります。頸椎だけでなく、ほかの箇所で起こる脊柱管に影響を与える病気についても知っておきましょう。
頸部脊柱管狭窄症を悪化させると、慢性的な肩や首の痛み、手足がしびれるようになります。
それだけではなく、悪化させるとおはしを掴めなくなったり、歩くことができなかったりするのです。それを防ぐためにも早期の治療が必要です。
脊柱管が圧迫されていることに気づくことで、頚椎症性脊髄症が悪化する前に治療できます。
そのためには、体に異常があれば医師に相談して検査を受けることが必要です。ですが、初期症状は肩こりなどの目立たない症状なので、気づくことは難しいでしょう。
見わけ方のなかには、首を前後に倒した時の痛みで判断することができます。
首を前に倒した時に痛みが楽になって、後ろに倒した時に痛みが増すようであれば、頸部脊柱管狭窄症を発症している可能性が高いです。
これは、首を前に倒すと骨と骨の間にすき間ができるため、脊柱管にかかる圧は軽減されます。逆に、後ろに首を倒すと骨と骨の間のすき間がなくなるので痛みが増すのです。
紹介した見わけ方は、あくまで参考程度なので正確な診断は病院で行うようにしてください。
ほかにも、当サイトには、自分で頸部脊柱管狭窄症の可能性をチェックするための、セルフチェックシートを用意しています。
このシートの項目に当てはまる点がいくつかある人は、すぐに医師に相談することをおすすめします。
また、チェックシートで問題がないからといって、頸部脊柱管狭窄症ではないとは言い切れません。
手のしびれが起こる原因は、脳疾患や脊椎、末梢神経、内科系疾患など様々。単なるしびれだと安易に考えていると、症状が悪化して大きな病気につながる場合もあります。しびれが続くときは早めに診察を受けることが大切です。
足のしびれの原因は、脳・脊椎の疾患、糖尿病など様々な要因が考えられます。糖尿病による足のしびれの場合、放置すると悪化してしまい最悪の場合は壊死することも。たかがしびれと放っておくのではなく、症状を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。