胸腰椎圧迫骨折の原因、および症状や治療法について解説します。
「きょうようついあっぱくこっせつ」と読みます。
脊椎にある椎体という組織が、何らかの原因によって重力の方向に骨折してしまう病気です。主に高齢者に見られます。
病名に「胸腰椎」と付く通り、胸椎から腰椎にかけての範囲で発症します。
背中や腰など骨折した箇所を中心に痛みが発生します。骨の破片などにより脊柱管が圧迫されると、足のしびれや麻痺症状が起こる場合も。
痛みの症状は原因によって異なりますが、急激に発症するというよりも、長時間かけてじわじわと重くなっていくことが多いです。
原因は、大きく分けて2つあります。
加齢とともに蓄積する脊椎への負荷により骨折します。骨粗しょう症で骨がもろくなり、軽微な衝撃がきっかけで骨折してしまうケースも。
またなかには、とくに衝撃もなく骨折することもあるので、若いうちから骨を丈夫にするよう食生活には気を付けましょう。
胸腰椎圧迫骨折は基本的に高齢者の病気ですが、転落事故などによる強い衝撃で若い人に発症する場合もあります。
なお農家で働いていた高齢女性に多く見られる、腰や背中が曲がった状態は胸腰椎圧迫骨折が原因です。
長期間の脊椎への負荷により、小さな圧迫骨折がたくさん生じて腰や背中が曲がった状態から動かなくなってしまいます。
農家以外でも、脊椎への負担が大きい仕事をしていると同様のケースが起こることが多いです。
治療法は症状のレベルによって異なりますが、ほとんどが保存療法です。手術を行うことはめったにありません。
基本的に安静のみです。コルセットなどで固定しながら安静にします。
ただし、胸腰椎圧迫骨折の患者の多くは高齢者であるため、安静によって起こりうる別の病気に注意しましょう。
認知症や筋力低下による歩行困難などを起こさないためにも、痛みが軽くなったら早めにリハビリを開始することが大事です。
こうした保存療法によって、短い人だと1週間程度、長い人でも3ヶ月程度で症状は改善していきます。